詩の日めくり 二〇一五年五月一日─三十一日/田中宏輔
クオフで、フォワードの『竜の卵』を買った。カヴァーにすこしよれがあるけれど、まあ、いいかと思った。郵便受に、手塚富雄訳のゲーテ『ファウスト』第二部・下巻が入っていた。カヴァーの状態がよくないが、まあ、これは読めたらいい部類の本だから、がまんしよう。
二〇一五年五月十九日 「ケイちゃん」
「きょう、オレんちに泊まりにくる?」
ぼくは、まだ大学生で
外泊する理由を親に話せなかった。
返事をしないでいると
ケイちゃんは残念そうな顔をした。
ぼくはなにも言えなくて
阪急の河原町駅の入口
階段の前に
しばらくのあいだ
ふたり並んですわりこんでいた。
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