詩の日めくり 二〇一五年五月一日─三十一日/田中宏輔
 

だって、そのとき、小犬たちが彼女を引き裂こうとして
               彼女の胸に噛みついちゃったんだもの

ぼくはまた憶えている
       一匹の死んだウサギのことを
                だれのことも脅かすことなく横たわっていたよ
ハンターの         
     ひろげた手のひらのうえにいるそいつのことを
                        ぼくがそばに立って
見ていると
    彼は狩猟用ナイフを手にして
               そして顔には笑みを浮かべてさ
ナイフをぐいっと突き刺したんだ
         そのウ
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