映画『赤ひげ』と父の思い出/道草次郎
しろ醜悪ではないかと。?
しばらくして、六助の娘を名乗る女が突然訪ねて来る。女は六助のたった今の臨終を聴いて大いに嘆くのだが、やがて、赤ひげと保本の前で身の上の事を話し始める。ここでは、その一部始終を全て紹介しないが、早い話、女は、女の母親とその愛人に散々な目に遭わされてきた。もちろん六助はその愛人の男に家族を奪われ、残酷な事に娘まで思いのままされたわけだ。でも、女はついにその仕打ちに耐え切れず、愛人の男を刺して家を飛び出して来た。そこで、父である六助を頼って訪ねてきたというわけなのだ。劇中においては、六助の歩んできた人生がそこで初めて明らかとなる。?
そして、ここからが肝心なのだが、
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