映画『赤ひげ』と父の思い出/道草次郎
 
たといえる。

そんな多感な十七歳という年齢に出会ったのが、黒澤明監督の『赤ひげ』という映画だった。今回はこの映画について少しお話をしたい。ところで、言うまでもなく『赤ひげ』は有名な映画だ。だが、ご存知ない方の為にも簡単な概略だけは紹介しておいた方が良いと思う。

赤ひげと仇名される貧しい養生所の医師、新出去定を中心に据え展開される人間ドラマ、それが『赤ひげ』だ。時代は江戸後期、貧しきものはひたすらに貧しかった享保の改革の折である。保元という若い医師との子弟物語でもあり、それを取り巻く人々の温かさを描いた作品としても観ることができる。?

今回取り上げてみたいのは、この『赤ひげ』の中の
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