眼のない光/ただのみきや
葉をネットで見つけて暫し見入っていた
窓辺では白い流木が日差しと戯れている
思い出からは色がすっかり抜け落ちて
パサついた記憶には
晴れた冬の浜辺に落ちている海藻や貝殻のよう
それ自体冷やかな慰めで死を幾つも連れていた
息子の昼食に月見うどんを作る
見えるものは全てささやかな問いかけで
読み解く者はみな自分を紐解いている
爆弾低気圧並みの沈黙も膝の上では猫だ
台所を覗くのっぺらぼうの光
葱の青さ あの若々しい命の我慢強さを
わたしは古いブラジル音楽に身をまかせ
いつぞや振り回し欠けてしまった包丁で刻むのだ
《2021年2月6日》
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