運命の分岐/mizunomadoka
 

職場でお寺の話になって
昔あなたと行ったお寺のことを思い出した
名前も場所も憶えていなくて
ネットで調べていたら
手が滑ってあなたの家を見てしまった
恐ろしいことに十数年の移り変わり写真まであった
知らない車が停まってる
自転車の種類が変わった
庭の金木犀がきれい

胸の動機がすごかった
こんなに動揺すると思わなかった
感じるより考えるより速く
私の心はそれを取り戻そうと走りだした
もうひとつの人生!
もうひとつの心臓!
机の前に残された私は
冬の発電機みたいに白い息を吐きながら
ディスプレイをただ凝視してる

初めてのデートはスケートだった
わたしも
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