ナイトドライブ/ひかわゆきお
 
夜に沈みながら
踏みっぱなしのアクセルに
ここはどこなのか
問う術もなく目を見開く

絶望という文字が
幾度も浮かんでは消え
(急カーブに
 飛び込む
 夢を
 見る)
真っ暗闇の只中に彷徨う

泣くことができるなら
泣けばいい
わたしはわたし
あなたはあなたで
自分の力で立つことが
これほど難しいなら
誰かにもたれかかって生きることは
間違いなのか

(信号が 音も立てず 色を変える)

あなたは過剰でありすぎ
わたしは不足しすぎていた
溝を埋めるために真夜中に走り出す
あなたはここでしか
本当のことを言わない
(それすらも分からない)
(何もかもフェイクかもしれないじゃないか)

あなたは黙って泣いていた
涙を流さずに泣いていた

明日は多分良くなる
(今日よりは)
(いくらか)

溢れかえる問いかけは隠して
夜明けを待つ
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