あらかじめ瓦礫の中の/ホロウ・シカエルボク
 
った刺しにされたとか
あれからずっと放置されてるディスプレイのドレスは
初めからあの色ってわけじゃなかったのかもしれないね


思い出は尽きない
どれだけの生が
どれだけの死がここにあろうと
俺たちがはっきりと見つめられるものはそれしかありはしないもの
ね、そうでしょう名も無い浮浪者よ

ノクターンの中
人生は破片
脆い雪のように散り惑う
踏みながら歩けばそれは
ポケットから出てきたいつかの映画の半券のようだ


すべての人間が居なくなって
ダンスホールは
初めて音楽の余韻を抱きしめる
冷えた冬の夜が
ハーモニクスみたいに鳴り続けている


もう軽
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