退屈な水/草野大悟2
 
やさしさだけがあるひとのなかに
太陽(コロナ)がおちて
夕焼けがおわった。

冬の空より退屈なひとね
水がいった。
そういう水も
そうとうに退屈なかおをしていて
おおきなあくびをしている。

あくびが 
ぽわん ぽわん 
かすかな音をのこしながら
ちいさな虹をえがいていく。
虹のなかで
うまれたばかりの言葉が
えーんえん えーんえん
からだをふるわせて
泣いている。

おおきなあくび と ちいさな言葉が
らせんの風となって
退屈な水のうまれた空へと昇っていく。

でも
ただひとり
きみ
という言葉だけは
どこにも飛ばずに
私の手のひらで羽をうごかしつづけている。
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