山羊の気持ち/黒田康之
 
今日は山羊の気持ちでチーズトーストを食べた

牛の乳は甘く

トマトは鮮烈な酸味があった

日々苦味の草を食んでいる身として

穀物の甘味は喉の奥に染みた

チーズトーストには自分の角の影がくっきりと映って

コーヒーの湯気に髭が冒されていく気がした

いつものように折った首筋を真っ直ぐにする時

岩を登る先人の威厳を感じた

たぶん

明日はまた岩の隙間の青草の芽を

シャクシャクと食って

有り余る陽射しを浴びるのだろう
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