善行についての疑問/道草次郎
 
の先の境地の事を何か書いているのだろうか。単純な疑問である。ツァラトゥストラを読むというのは、どの位置にいるという事なのだろう。

そして、こうした関心の萌芽を突き詰めて考えていくことは、どういう事だろう。たくさんの古典には人間が生きている。それは、たいへん美しい事だが、美しい事以上の何なのだろう。

書物はどれもこれも焼失の可能性を秘めるが故にうつくしい。うつくしいものは、うつくしい限りにおいて自らに遍満する空の痣だ。しかし、それ以上を望まないのも美だ。美の節度はたいへんなもの。

書物を読むこと、横糸。生存、縦糸。どのようなタペストリーが?

我々が人間をやめる日は、いつ到来するのか。

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