無限への疾走/道草次郎
 
めた 回帰するものをどしどし馭者座の方向へ投入している おおだれか 俺の名はなんと言ったか おれの矩形のあの城壁 あの城壁と浩瀚な死の蔵書の事は辛うじて思い出される だが…おれはおれから難破した宇宙儀だ おれは恐れ慄くそのものだ

輝く星雲の心筋細胞の迷路を彷徨う一朶のはやい雲!! 速いっ!何もかもが速い! !ここは何処だ!? ここは島か これは この 俺 という億の壊滅した都市の余波は一体何だ なんなんだ!

俺は聖餐に立ち会わなかったユダの弟 皮を剥がれた蛇のエデンの申し子 ゾウリムシの鞭毛の一本にも満たない存在様態の滓 腐ったキリスト 高貴な吐瀉物 裏返しの矛盾律 惨憺たる形而上学 内在する冒険の説教師 かんな屑の中の懐疑論…

それらすべての総合体として今ここに この 生でもない死でも無いところのすべて そのものとして

俺は肯う風に立ち会っている…
風の吹く それのみを宿し。
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