詩の日めくり 二〇一五年三月一日─三十一日/田中宏輔
 


なぜ、地獄には知恵が生まれて
天国では知恵が死ぬのか。

地獄からは逃れようとして知恵を絞るけれど
天国からは逃れようとして知恵を絞ることがないからである。


二〇一五年三月二十五日 「歌」


まったく忘れていたのに
さわりを聴いただけで
すべての部分を思い出せる曲のように
きみに似たところが
ちょっとでもある子を目にすると
きみのことを思い出す
きみは
ぼくにとっては
きっと歌なんだね
繰返し何度も聴いた
これからも
繰返し何度も思い出す



二〇一五年三月二十六日 「なによりもうまくしゃべることがで
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