詩の日めくり 二〇一五年三月一日─三十一日/田中宏輔
 

本棚を見つめながら
本の背に
ひみつ
と呼びかける。
本棚に並んだ本が聞き耳を立てる。
ひみつ
という言葉が中継して
ぼくと本棚の本を結びつける。
手のそばにある電話に
ひみつ
と呼びかける。
電話が聞き耳を立てる。
ひみつ
という言葉が中継して
ぼくと電話機を結びつける。
ひみつ
と呼びかけると
まるで、ひみつというものがあるような気がしてくる。
ええっ?
そんな画像送ってきてもらっても。
人間って、いろんなことするんやなあ
って
いや
人間って、いろんないらんことするんやなあ
って、思うた。
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