耳元でポエムが囁きだした頃から/こたきひろし
祖母の存在を忘れていった
祖母が家から
この世界から姿をけした事がきっかけになって
私は死を強く認識し
何よりも怖れるようになった
私は思い出せない
いつから私の耳元でポエムが囁きだしたのかさえ
家族の離散
家族の生き死にが
もしかしたら私の耳元でポエムに変化して囁きだしたのかも
しれない
夜中に胸が騒ぎだすんだよ
何者かが言ってくるんだよ
書きなさい
書きなさい
書きなさい
何でもかまわないないから
吐きだしなさい
胸に湧き上がる思いを
と
何でもかまわないから
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