耳元でポエムが囁きだした頃から/こたきひろし
 
間違いなく
誰一人
物心ついた正確な日時を記憶してるなんて
不可能だ

それ以前に時間の認識と言う
重要な鍵を握らなくてはならないのだから

物心を手にした頃なんて
遥か遠くでかすかにぼんやりとゆれる
蝋燭の炎みたいなものだろう

物心ついた頃
私の家族は八人だった
そこから一人欠けた日の記憶さえ曖昧なのだ

祖母が突然病死した
遺体は棺桶に押し込められ
棺桶には棒があてがわれ
棒は両端を二人に担がれて
先祖代々の墓場に運ばれた

棺桶はあらかじめ掘られていた墓場の土の中に埋められて
儀式は終了した

それから家族も親類縁者もまわりの他人も
祖母
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