栄光と挫折 〜カタチを変える誘惑に〜/二宮和樹
 
蠱惑的な景色への誘いは
喉元を潜る琥珀の液体を凌ぎ
やましさとやさしさ混じりの過去

泡沫という支配も
早鐘を打つ心に増して
とみに私の眼差しを揺する

闇雲に尽くしても
闇雲に求めても
この私の臨む世界は
私なりにしか見えない

まるで古城に立つ
まるで漠とした地平の中で立ち尽くす
意志を忘れたように
人いきれに揉まれ幾分かの縁に縋る



嗚呼
生きるという営みは
すり減らすものだ

だが
何分にも私が頼るのは
拙く光る夢ではなく
逞しく宿す愛のかたち

さぁ見なさいと諸々の神がいう
さぁ目を向けなさいと更にいう

生きる恥はすでに
カラカラな栄養分に似て
私の形を削ぐことはない



さぁ恥じらってくれ
さぁ嗚咽を漏らすべきだ

一時の了見を去り
彼方に栄光を見るべきだ
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