視破線/ただのみきや
鳶
暮れかけの空
トンビたちは思い思いの弧を描く
風に乗り
風を切り
風を起こし
また受けて
狩りの照準を
時折水平に起こし
淡くたなびく雲の帯を
くぐるつもりか遠く巡って
高く 低く 風に凭れては
弧に弧を接いでまた戻る
螺旋のスロープ
わたしの頭上を越えて行く
見える軌跡など残さずに
飛んで
生きて
うわの空
太陽神
太陽の長い裳裾に触れて
足下の海は輝きを飽和させる
沸き立つ光の過呼吸
波は意識を失くしている
瞑っても逃れられず
ひとつの顔が刻印される
海のこちらは雪の大地
仄青い陰影を帯
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