錯乱と円環と/道草次郎
 

かんがえようでは
大したこともなくって
べつになやむことじゃない
こうして詩をかいていても詩はこの詩に
すでにあきれていて
あなたはあなたにとって大事なものに
どうぞ集中すればいいんだ
しかしよく出来ていてひとを楽しませりなぐさめたり
するものはなんていいんだろう
たとえばホッカイロなんてすばらしい
ぼくは真剣にホッカイロに匹敵する詩を
書こうとしたことがある
でもむりだった
こういうことを馬鹿とおもうのは
しあわせな人間だ
ぼくはほんとうに自分が救われたかったし
できれば他の人だってすくいたい
ところで
いったいどこへいけばこの頭を
なくせるんだろう
ぼくはまっさらになることが一番だとおもう
つまりは死ぬこと
しかしこれは危うい考えだ
ひとりで始末をつけられることなどない
ぼくはぼくの葬式の心配をする
独在性というのを
あんまりかんがえることは幼いひとたちを
なかせるよ
だからぼくはぼくの死後のあることを信じる
つまり
しんじることの根っこはあわれに相違ない
このようにぼくの錯乱は
円環をとじる

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