カスタマーサービス/中田満帆
るなにかが作動してるってことなのか。おれはわからないままに立ちあがって、タクシーを呼び止めた。行き先は神鋼病院の精神科ということにした。やっぱり死ぬのは怖かったし、それに3つもキメたあとのトリップは正直最悪だった。カナエの分泌物がおれのなかで暴れだす。熊内通り5丁めに来たときにはもう失血で、弱り切ってた。運転手に金を渡し、着いたら、その金から精算するようにいった。まるで輪切りにされたボーイングが地上を離陸するような快楽の響きがおれの唇から喉元にかけて走る。タクシーも走る。坂をくだって、ガードを潜り、左折して、病院のまえまできた。運転手は入り口で停め、制帽を脱いだ。それはまぎれもなくカナエだった。お
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