水は流れるところへ流れる/道草次郎
 
あなたが深く絶望するとき
世界は絶望するけれど
その世界はぼくの世界とは違うのだけれど
そのことでごめんなさいと思うのは
あなたの絶望の世界のなんだろう
ぼくは
まあこんな人間でやってきたから
次の展開はだいたい予測されてしまう
けれどぼくが一番ぼく自身に命じるのは
あなたの絶望の世界をみくびらないこと
あなたの絶望の世界にぼくの土足をつけないこと
ぼくが
あなたの絶望の世界がぼくの世界じゃないのを
どことなく悪く思うのは
これは土足なのかそうでないのか
そういうことは
あまり増長させないでおこう
ぼくはうつくしい反射のようなものだけが
善いもののような気がする
うつくしい反射とは
頭より先にでる手であり
僕より先にでる
あなただ
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