不安な演奏/こたきひろし
思い出すから
記憶なんだろう
過去の記録がヒトの脳内に蓄積される
その大半は埋もれたまま埃を被るに違いない
過去の痛い記録を
忘れる事によって人は安らぎすくわれるのだろう
貧乏に生まれ貧乏に育ち
自立して社会人になっても稼ぎが悪い
貧乏の土壌から脱出できないまま
生涯を終えてしまう人は沢山いる
裕福に生まれ裕福に育ち
裕福なまま生涯を終えてしまう人もいる
私はわたしの脳内に日々の記録簿を持っている
生きるとは日々の記録をそこに綴る事だと思っている
そこに綴る記録には
貧困が色濃く反映されている
お金が欲しい
だがそれは
詩に取り上げづらい
テーマなんだよな
詩人は
現実から
眼を反らして書くことが
望ましいとされている傾向にあるからさ
詩は
美しい
言葉の芸術として扱うべき
その方が読まれ
受け入れて貰えるからさ
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