レストランもないのに/木葉 揺
ワイワイ微笑むんじゃないよ
在りし日のレストランで
見せてたような笑顔
全部がそれなりになってゆく
そんな風におもえた頃
今の自分には
両手で受けても
こぼしてしまいそう
あふれすぎる君の笑顔は
この時期にもなって
みんながそうでないんだよ
飛び出しそうな言葉
言わなくても伝わってしまうか
今の自分をまじまじ見れば
比べるまでもない
ワイワイ顔の筋肉が動いたらいいな
動かない自分に苛立ちながら
もうそこまで!と叫ぼうとする
あの時とは違うんだ、ほとんど
でもやっぱり
ワイワイ微笑んでくる君の
空気の香りの眩しさの
もう何でも
制止できなくて浴びている
ここはレストランではない
でも楽しかった景色まで
よみがえってくる
全てが地に落ちて混沌としても
君ひとりで変えてしまうのか
控えすぎて足りない世には
一人だけでも
さりげなくワイワイできる
そんな君を
誰もが必要としている
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