落穂/道草次郎
 
はことの他親密。シュタインと名のつく男の子は、そう、みんな早足と決まっている。水鶏に古書を与えよう。シナイ山は裏にあるのだから、モーセもゼラニウムもただの風景画。ウラン山脈は、未来方面に?はて。いなされた駿馬の心筋細胞を賦活させよ。息を吐きかけて、止める。その所作は所詮、笹舟に過ぎない。しののめ。須臾の時すら惜しいものだ。惑溺という野花が根を下ろすのは、深い静けさをたたえた湖や論文の中には無い。それは狂騒と礼拝、潮騒と厄災のあわいなどに溢れ勝ちだ。幾度かの春に生まれ、それをふかく身に知りすぎているから、幾度かの秋に死に、またそれをふかく穢しているから。さらば、潰瘍性の蠱毒、無味のソフィスケート。
[次のページ]
戻る   Point(3)