きみと朝食/津煙保存
 

砕かれていくトースト
カーテン
先輩
つくりたて)の皿)の味



 午前10時
 ワンルームマンションの薄暗い部屋から
 冷たい息を吸い込む1階の廊下の端
 ドアの横に待つ
 極太の黒いバッテリーコードを外した
 緑を点す車椅子が
 下るスロープの先から国道沿いを北へ
 角の郵便局できみは
 光熱費を支払う 

 きみの好きなバンドにあの娘のこと
 肩越しに話しながら横断歩道を渡り切り
 地下鉄のエレベーターより
 改札口を通り抜け
 誰のものでもない朝
 ぼくたちは
 鋼鉄の扉を打ち震わせ
 足跡のようにたどる陽の中を
 まばゆくおちていくのだ
 



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