道草/ひだかたけし
 
どんよりとした
鉛の雲の切れ間から
青が光って覗いている
俺はくたびれ脱力して
道端に腰掛けている
わけの分からない宣伝カーが
ゆっくりと通り過ぎて行く
ひんやりと動かない空気
傾きかけた太陽
何も変わらない風景のなか
俺は重い腰を上げる
風景の一部になろうとして
うっかり声を立てないように
静かに 静かに






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