とある姫の偶像歌/月夜乃海花
 
昔、歌声が美しき姫君ありて
空も渚もそれは喜び
雲や花はそれを嘆き
彼女は太陽のように輝きて
いつしか戦の源となるが故と
何処ぞの爺が言った

刃を持つ従者に鳴り響く鐘
彼女は自らの死を悟ると
周りの愛してくれた者たちに
歌を捧げると音の風を伝え
己自身は崖から飛び立ったそうな
後に姫は神として言い伝えられた

神となった姫はいつしか
己の像を見て悲しんだ
動物たちにに伝えられた伝説を
己の哀しみは理解されない

その涙はやがて音符となって
人の子らの手に降り立った
その音がどんな音なのか
もはや今は誰も知ることはない
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