愛を貪る獣/おろはげめがね
 
美しくなりたいと言って、僕はきみと同じように美しくなりたいです。
同じお店でブローチを買ったり、帽子を試着したりして。
天国に行くよりも、きみがいるこの世に
もう一度生まれたい。
そう思えた冬。
造花が散る季節。
たくさんの綺麗なものと、そうでないものが一緒になって眠る夜。
優しくなれて良かったね。
花束は顔を隠す為にあるのではないのに
鮮やかな沈黙に理由を与えている。
抱きしめたって、愛せないし、抱きしめたって、死なないものはない。
だから、きみは僕だけを永遠に抱きしめていてください。
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