ラムネ/アンテ
や濃淡を持つものはないから
一番のお気に入りは
ヒロコちゃんの手だ
あんなにきれいに
血管や骨が透ける手は
ほかにはない
太陽の光でものを透かして見ることを
教えてくれたのも
ヒロコちゃんだ
白いプラスチックの道具で
ヒロコちゃんが
栓を押し込んでくれた
炭酸水を飲むのははじめてだった
歯が溶けるからダメって
おかあさんに言い聞かされていたから
瓶を傾けると
口のなかで甘い泡がはじけた
炭酸水が出てこなくなったので
瓶の口を覗くと
ビー玉が穴を塞いでいた
出口が見つからなくて
言葉たちは
ぐるぐる ぐる
わたしのなかを回りつづけるうち
血に溶
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