prologue「サティの波紋」 橘の香りする 枕もと 地球が訪ねきて 細いゆびを こちらに突きだす ティーテーブルで フランネルの布がわらっている (ちがう (ちがう (ここではないどこか 意味の底を てくてく歩く幼子の ポケットからはみだす 拳銃のような地勢 あるいは 濯がれた和音の 残響に似たうめき声が たずねる場所を失くし 失くし みずうみの上を漂っている