詩の日めくり 二〇一四年十三月一日─三十一日/田中宏輔
二〇一四年十三月一日 「宝塚」
18、9のとき
ひとりで見に行ってた
目のグリーンの子供と母親
外国人だった
子供は12、3歳かな
きれいな髪の男の子だった
母親は栗色の髪の毛の、34、5歳かな
宝塚大劇場に、ひとりで行ってたとき
ときどき行ってたんだよ
斜め前の席に坐ってた子供が
自分に近い方に
宝塚の街のことは、隅から隅まで知っていた
いろんなところ、ぶらぶらしてた
あれから何10年経ったろう
もしいま宝塚の街を歩いてみたら
ぼくの傍らをすれちがっていく
笑い声に出会うだろう
それはたぶん
きっと
あの宝塚の街を通りすぎていく
風だったのだろ
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