明け方の空に夕暮れの空に/こたきひろし
 

勢いそのドアが開けられて
 何やってんだはやく逃げろよ!死んでもいいのか!

俺たちは慌てて避難した
広い場所に沢山の作業員が集まっていた
余震が何度もあって工場内の高い建物がしなるように揺れていた

生涯で初めて命の危険を感じた
生きた心地がしなかった

工場内の一隅から煙が上がり火の手も見えていたような記憶もあった
あれは妄想かまぼろしだったかな

そんな中で 皆携帯で電話を試みていた
俺も家族の安否が心配になり同じ事をしたが繋がらなかった
ここにはいられない
一刻もはやく自宅へ帰らなくてはと焦りを感じ始めた頃に
工場長が全員の帰宅をメガフォンで指示した
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