Slow Boat/服部 剛
 
ない

この街には
無数の叫びが隠れ
頼りない僕の手には、負えない 

だけどたまには思い出したように
この街角で仲間と落ち合い 
カウンターに肩を並べるくらいはできる

昔の詩人は言った
「心に少し、余分な場所を」

今日、僕とあなたがこの世界で出逢った
素朴な奇跡を祝い
互いのグラスを重ねれば 
頬の赤らむ夜更けには

あの丸いお月様を乗っけた
葉っぱの舟が
ゆっくり…ゆっくり
明日へ漕ぎ出してゆく  





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