蕎麦ラプソディー/ブルース瀬戸内
大いなる美学を打ち出せば
それはそれで美学は廃れて
点と点を慎重に繋ぐはずが
肥大化した点の陰に隠れて
妙に明日に不安を抱きます
揺らいだ価値にしがみつき
そよ風と強風を間違えても
アクロバティックに堪えて
何を守るかより守ることが
至上命題に浮上してきても
足を絡めて手を伸ばしては
蕎麦の限界を超えるのです
蕎麦は空を見上げています
蕎麦は一年を振り返ります
蕎麦であることの宿命こそ
蕎麦を超えることの条件で
蕎麦でいることの安堵こそ
自分以外を深く愛すことの
揺るがない条件なのかもと
思っていたりもしています
歪から解きほぐした宇宙の
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