無波動の寝床/ホロウ・シカエルボク
 
ってしまいそうだ
暖かいベッドで
暖かい夢を見せてよ
悪夢になるなら
せめて目覚めさせて

明け方に目覚めて
薄暗い部屋を見ている
まだ眠れるはずなのに
気の早い光が
波のように天井を流れるのを見ている

夢は暖かくも冷たくもなく
日頃の虚無から辻褄を抜いただけの
落丁本のような仕上がり
色がないのに不吉な
幾つかの場面を思い出す
それが見たかったものかもしれない
ほんの一瞬だけ
そんなことを考える

幸福や不幸なんて
思えばそんな尺度を持ったことがなかった
生きられるか生きられないか
動けるか動けないか
得られるか得られないか
そればかりで
そのどちらかばかりで
いらだちや反動で
いつも次へと懸命に飛んでいた
俺になれるか
お前は俺に
無波動の寝床は
指を突き付けてくる
俺は目を?いて
そいつに齧りつくのさ
おはようございます
朝のラジオが言う

うるせえ
もう少し



寝かせろ


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