無波動の寝床/ホロウ・シカエルボク
 

本当のことはとても静かにやって来る
俺がそうだと声高に叫んだりなどしない
気づいたらいつの間にかそこにいる
迷うヒマなど与えてもくれない

ハーフムーンに見下げられながら
凍えて帰った遅い夜
くだらない動きと記憶の連続で
シャワーの湯気の中で少しの間目を閉じていた
ずぶ濡れの身体を拭きながら
ふと零れたのは古い日本語のブルース
ベイビー、ベイビーって
使ったこともない言葉だけど
自然に歌えるならそれでいいじゃないか

詩集や小説のページをめくり
目についた音楽を流していると
あっという間に日付変更線が来る
悪足掻きなどさせてもくれない
下手すりゃ机で眠って
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