嘘つき狼と黒羊(ショートショート)/月夜乃海花
 
あるところに嘘ばかりつく狼が居ました。
「俺は他の奴らとは違う」
それを遠くで見つめる羊が居ました。
その狼はあまりにも面倒なので、周りから動物は逃げていきました。
そんな中、羊は言いました。

「君はそもそも狼なのかい?」
「見ろよこの牙。誰だって噛み付ける。」
「よく見るとそれはプラスチックじゃないか。」
「見ろよこの顔。誰だって怯えて逃げるのさ。」
「確かに毛むくじゃらだけど、毛を刈れば綺麗な目をしているな。」
「見ろよこの身体。誰だって蹴りつけるさ。」
「ふうん。噛む方が早いんじゃないのかい?」
「まあ、確かにな。お前、食われたいのか?」
「食べたいならどうぞ。
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