Vermillion/TAT
 
















あの日空き地には
学童相手の煙売りの
紙芝居屋が
市を立てていて



ピエロが曲がる鏡を売っていた



俺を追いかけていた
あのクラウンの男は
道化師の男は





迎えに来た俺の母親に丁寧に

お辞儀して


宅の僕ちゃんは


元気が有り余っていて



良ござんすねと



世間話に誤魔化していたが


 



本当は鋭いナイフを



後ろ手に隠し持ちながら




俺の母親の月経の血の匂いを



鼻で嗅ぎ
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