冬の花びら時の河面/
ただのみきや
になって
自己という違和感を取り戻して行く
浮浪者が襤褸に包まって眠るように
胎児は月になる
わたしたちの
こめかみに触れる囁きが
朱い実
すっかり葉を落としたナナカマドの枝先で
実は房となって揺れている
太陽の血を含んだ朱い結晶
野鳥たちに捧げられ その翼で運ばれて
親は子を知らず 子は親を知らず 脈々と
灯り続ける実の朱が空の裾を手繰っている
《2020年12月27日》
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