日記なんか書かない/こたきひろし
私は十七歳
冷静に論理的に生命ついて考えたかった
私は学校で人体模型を見せつけられながら
人間の幸福については何も考えられなかった
ある日
私は職員室に担任の教師から呼び出された
こたきお前はいったいいつも何を思い考えてるんだ 先生にはお前が全く解らないんだ。
と切り出された
私はある種の問題を抱えた学生だったのだ
教育者として放置しておけなかったんだろう
先生はお前に日記を毎日つけて欲しいんだよ それを先生に読ませてくれないかな
教師は何かを怖れている様子だった 最悪の結果を想像してそれを未然にふせぐ為かのように言った
教育者人生に汚点を残してはならないと考えたのだろうと
私は分析した
私はあっさりとその場は了解した
放課後だったからはやく家に帰りたかったからだ
こころの底では
日記くらいで私の何が分かるんだよ!
と叫んでいた
だけど
日記が生命維持装置の役目も果たしてくそうな気にもなっていた
私は十七歳
意味もなく自死に憧れていた
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