デュカットは静かだ/春日線香
の頃の俺が一番輝いていた
それが今ではTVショーを眺めながら
一日頭に染みついた数字を振り落とすことしかできない
そんな彼の同僚であるところのアオキは
いつも職場で性欲を燃やしている
彼の頭の中で戯れる黒い肌の妖精は
コールガールであるとともに母親でもあって
巨大な乳房を振り振りスーパーマーケットで買い物をした
レジでは43歳のジェーンが対応した
仕事が終わったら明日はようやく休みだ
休みの日にはいつも図書館に行くことにしている
返却本を司書の手に渡して
そのハンサムな司書が奥に下がっていくのを最後まで見る
それを心の底から堪能している
オフィスの四角い扉が開いてまた閉
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)