ぶろっさむヨシノそめい/秋也
桜の匂いが薄れてきた
玄武岩質溶岩
ロープ
太い幹
遠足の準備は万端だ
日本酒に金箔を入れて
瓶の中でひらひら
朱合漆
盃カラカラ
殿様右手をひらひら
「苦しゅうない」
ソメイヨシノは赤い丸
白地がまた美しいんだ
まだ死んでいないのに鼻が利かない
満開なのに
「ああ、櫻の匂いがずいぶん薄くなったか」
現代か過去か未来なのか
揺れた遺骸は軽くて重い
波間に漂う軍靴の生き様
遠い遠い花の匂いを幽か辿って
生きよ生きよただ愛せ
愛し万象と往け
戻る 編 削 Point(1)