夕暮れシャッター/田中修子
赤い夕暮れがくると
鴉がぶつかってくるから
フェンスで囲われているマンションの
窓にさらに
夕暮れシャッターをおろして
すき間から覗いていると
数万の鴉が空を覆う
どこからやってくるのか
物心ついてから
疑わしくおもうひとは
わたしのほかこのマンションには
いないようなので
ずっと口をつぐんでいる
暗い部屋の
ボロボロのあしの七本ある椅子に
腰かける
月曜日、火曜日、水曜日……
数百冊のノートにうずまりながら
詩を書いている わたしの恋人はいつも
あした死んでしまう
いまはもう処方されない
致死量のある薬を
白い喉をさらけだして仰ぎ
飲みく
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