女王の結婚/チアーヌ
 
ことができました。恋と結婚というのは全く別のものなのです。女王様は恋をして幸せになることはできない体質の女性だったのでした。

女王様は年をとり、病気になり、もう長くないと医師に知らされました。女王様は夫であるコウを枕元へ呼び、こう語りました。
「あなたのおかげで、わが国は長く平和で、豊かな国になりました。わたくしはあなたにとても感謝しています」
するとコウは少し寂しそうにこう言いました。
「そうですか。それはとても光栄です。でも、僕があなたに捧げられたいのは、感謝ではなかったのですが」
女王様はそのことはわかっていました。嘘をつくのはとても簡単なことでした。けれど、女王様は嘘をつきたくはありませんでした。
「わかっています。ごめんなさい。けれどわたしはとても幸せでした。それはほんとうです」
そう言って女王様は目を閉じました。ご臨終です。医師の声が聞こえました。すると、女王様の閉じた目の中に、若い頃好きだった3番目の王子の冷たい表情や、旅の商人との激しく刹那的なセックスが浮かび上がりました。
女王様は、微笑を浮かべたまま、亡くなりました。

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