愛のうた/星染
ら、手を伸ばすあなたを思い出した その四肢が、睫毛の先からその視線のわずかなうつろいまで、愛せると思った 幸福はそのとき、完全に決定してしまった
海が凪いで音のなくなった空に、こぼれそうな星が鳴っている 光が震えて融け落ちる間にほとばしったひとつの熱が、あなたですか 風が冷たかった、縫うように降る雨に、生白い肌に、細い静脈に、きっとあなたを見ている
痛む指に響く拍動のリズムで、生きてるって思った、そこに血液が流れていることがわたしを凡庸にするのなら あなたがその手で絞めて、息の根までふれて 大丈夫だと撫でながら 気が遠くなるほどゆっくりと、墜としてください
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