理由/後期
理由
家族らしい人がとりすがって
泣く理由を探している
ぼくに家族が居たかどうか
薄れ始めた記憶には術は無いのだが
爪の長い指が業者のように
内臓を捌きながら あゝ
この胃袋には
アタシの幾多の
愛情が注ぎ込まれたのよズズム!
と、笑い声をあげて泣くことに失敗している
そうだね!カーさん!ボクは
この胸に何度も何度もブチ当たっては
叩きのめされたのさ!
それなのに、あんなに分厚かった壁が
骨と皮だなんて可笑しすぎるだろう!
と、憚ることなく爆笑している
お弔いは明るいにこしたことはないが
泣いてあげないと、この子に申し訳がたたないよ
さあ、みんな泣いてお
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