まるでうまくいかない/ホロウ・シカエルボク
単なことなどないよ、とおれは苦笑して言った
なるほどね、というように男は笑った
そしてあっという間もなくおれを棺に詰め込んで土に埋めた
暗闇の中でおれは目を見開いて現象を理解しようとしていた
ここにはもうおれの知っている命や酸素や恐怖の概念は存在していなかった
ただの圧倒的な暗闇だけがあった
どうだ、と土の上から声がした
「難しいか?」
「難し過ぎて簡単になった」とおれは答えた
わはは、と男が笑うと地が揺らぎ、割れ、おれはもと居た地表へと放り出された
男の姿はなく、十字架はすべて倒れ、棺はくしゃくしゃに潰れた
ちくしょう、とおれはつぶやいてその場に座り込んだ
「まるでうまくいかないな」
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