ずるずる/後期
 
娘はクリームソーダをずるずると啜っている。そのずるずるが気に障るので、やめろと云うと、ストローを離し、唇にあてた。でも小さい娘には、硝子の容器が大きいので、両手で持っても飲みにくそうだ。「ほんと意地悪なおとーさんだね 」「いいからストローでお飲みなさい」ばぁさんが、云う。さっきまで、碌でもない壺を、売りつけようとしていた古狸だ。わたしは思い出した様にこう云う、「あんたんちの庭には、なんで、鳥居があるのかね?」
「凄いだろう」「いや 怖いよ」小さいながらも紅い鳥居が、ばぁさんの庭にはある。それが、窓から見える。「神聖な壺だよ」「また 振り出しか」私はついでに立ち寄っただけで、長話をしている暇はない
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