幕の内弁当/吉兆夢
 

 どこまでも
 剥けてしまうからだを横たえ
 祈るように削っていった。
 せめておいしく
 おいしく、あれ、と
 削るそばから舞い上がってそれは
 別れの歌を歌いながら、くるくると、
 くるくると
  、くるくると 、)

のはらはそうやって
冬に
なりました。
傾いた布越しのトルソーです。
私を囲うのは錆びた有刺鉄線と烏瓜の蔓が織りなすそそけた銀(しろがね)のアラベスク
皺々に腐たされた航空障害灯があなたを私から遠ざけます。
寝かしつけた胸のうちから押しのけていく、
やわらかに そっと
つのぐむように



    ( りん りん )




   ーーもしもし、

     そこから烏瓜の灯が見えますか。

     ここには山があるので近づいてはいけません。

     ここは山なので山があるのでどうか

     どうか、ーー

 








 みみなりのみみにも きこえてしまうのなら
 ぜんぶ、ぜんぶ、
 おしえて

 、あげない





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