可能なら雨上がりの空には理想的な美しい虹がかかって欲しい/こたきひろし
じっとしてたらこの体もこころも氷結されて凍りの柱にされそうな
冷たい雨が降ってやがる
よりによって嫌いな蟷螂がどっかから飛んで来て俺の華奢な肩にとまったじゃないかよ
俺は咄嗟にそれを濡れた軍手で払いのけた
季節は冬か春か夏か秋か
覚えてねぇよ
果たしてそこが極楽浄土か地獄の底か
それさえ記憶に残ってねぇよ
ただただ寒いんだよ
寒かったんだよ
おまけにそれを煽りたてるみたいに
冷たい雨が降ってやがった
そしたらずぶ濡れの女が歩いて俺の方に近づいてくるのよ
だんだんその姿格好が見えてきたら
これがすこぶるいいおんななのよ
それが寒い雨ん中なぜか薄着でさ
裸身
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